先日、「ミエログラフィー(造影剤を使った検査)で入院するときのポイント」というテーマで記事を書きました。
-
ミエログラフィー(造影剤を使った検査)で入院するときのポイント 3 つ。
腰椎の手術をするのに先立って、造影剤を使った「ミエログラフィー」という検査をしました。 僕の場合は 2 泊 3 日の入院で、手術の約 1 ヶ月前くらいでしたね。 「造影剤」という薬品を腰 ...
続きを見る
この中でも触れた通り、造影剤の副作用がとにかくしんどかったんですね。
検査そのものは滞りなく終わったんですが、その後に起こった頭痛や吐き気などにしばらく苦しめられました。
おそらく同じように苦しんでいる(そしてこれから苦しむであろう)人もたくさん居ることでしょう。
そこで、造影剤の副作用について、僕の体験をベースにまとめてみます。
症状や対処法についても書きますので、きっと参考になると思いますよ。
また、自分の症状について調べてみると、どうやら造影剤の副作用だけが原因ではなさそうなんですよね。
そちらについてもあわせてご紹介します。
この記事で分かること
- 造影剤の副作用の症状と対処法
- 造影剤の副作用はいつまで続くのか
- 頭痛や吐き気を引き起こす造影剤以外の原因
ぜひ最後まで読んで参考にしてください。
造影剤の副作用はどんな症状?
僕に出た症状は主に頭痛と吐き気でした。
検査翌日に頭がガンガンと痛くなってきて、徐々に吐き気も強くなり起き上がることすら困難に。
「常にひどい車酔いをしている状態」とでも言いましょうか。
横になっていれば症状は治まるんですが、体を起こす度に頭痛と吐き気が襲ってきました。
いや、冗談抜きで頭いたい。
ガンガンする。吐き気とまではいかないけど、なんとなく気持ち悪いし。
結局ベッド倒しちゃった。
また寝転んでます。歩いたら治るのかなぁ。
— ざこいた@坐骨神経痛が痛かった人 (@zakoita) April 3, 2021
ついには低カロリー食のカレーすら、完食できなくなってしまいました。
普段なら 10 分あればペロリの量。
30 分以上かけて、ようやく半分ほど食べるのがやっとの状態。
あかん。
マジで気持ち悪くてカレーが食べれない……。— ざこいた@坐骨神経痛が痛かった人 (@zakoita) April 4, 2021
あと、エレベーターに乗るのがつらかったですね。
三半規管が刺激されるのか、頭痛と吐き気が強くなるだけでなく、意識が遠くなるような感覚すらありました。
エレベーターに乗るのがつらい。
止まってる状態から上がったり下がったりし始めるときのあの感じが無理。
一気に頭痛と吐き気が襲ってきた。
— ざこいた@坐骨神経痛が痛かった人 (@zakoita) April 4, 2021
入院中はずっとこんな感じだったので、ほとんどの時間をベッドで寝て過ごしてましたね。
起き上がったところで(気持ち悪くて)何もできないですから。
ただただ横になって、ひたすら水分を摂り続けていました。
造影剤の副作用としては他にもいくつかあり、僕が体験した頭痛や吐き気だけでなくめまいや発疹などもあるようです。
また、ごくまれに重い副作用として、ショック状態になったり痙攣や意識消失を起こすことがあるとのこと。
ほとんどの人は異常なく検査が終わりますが、稀に下記のような副作用が検査中もしくは検査後に生じる方がいます。
○軽い副作用
吐き気、嘔吐、頭痛、めまい、発疹、かゆみ、発熱、せき など
○重い副作用
重い不整脈、ショック、けいれん、腎不全、意識消失 など
○血管外漏出
稀に造影剤が血管外に漏れ、痛みや腫れが生じ検査ができない場合もあります。
記事によっては「副作用」ではなく「アレルギー」と呼んでいるところも多いですね。
症状はほとんど変わりませんが、同じものとして考えていいんでしょうか……。
造影剤のアレルギーは蕁麻疹や発疹の軽いものから、気道の閉塞、ショックに至る重篤なものまで様々です。30年前の造影剤はアレルギーを含めて副作用の出やすいものでしたが、年々改良され現在おもに使用されている非イオン性ヨード剤の副作用は軽度なもの3%、重篤なもの0.04%、きわめて重篤なもの0.004%と報告されています。
やはり造影剤ですから多少のアレルギー反応がでる方もいます。アレルギー反応は一時的なかゆみから発疹、全身の腫脹までさまざまです。
「アレルギー」というからには、いわゆる「アナフィラキシー」と呼ばれる全身症状が出ることもあるんでしょうね。
頭痛や吐き気だけだった僕は、まだマシな方だったのかも知れません……。
注意
これらの副作用の症状は、造影剤の注入からすぐに出るとは限りません。
数日経ってから出現する場合もあるので、退院後に体調の変化があった場合は念のため病院へ連絡することをおすすめします。
造影剤の副作用への対処法
僕のような頭痛や吐き気という症状の場合、対処法としては以下の 3 つくらいしかありません。
- 横になる(動かず安静にする)
- 輸液の点滴
- 痛み止めの服用
とにかく寝ろ! 動くな!
という話ですね(笑)
動けば動いた分、症状が出ます。
ところが横になって静かにしていると、不思議なほど症状は治まります。
症状が出ている間は、起き上がるのは必要最小限にしましょう。
また、入院中であれば輸液の点滴をしてもらうことも有効です。
「輸液」とは水分や電解質を補給するための点滴ですね。
どういう仕組みかは分かりませんが、この輸液を点滴してもらうと症状は明らかに軽減しました。
症状が強くてしんどいときは、遠慮せず看護師さんに言って点滴してもらいましょう。
我慢しても何も良いことはありませんからね。
痛み止めも飲んでおいて損はありません。
正直なところ気休め程度しか効果は感じませんでしたが、それでも何もしないよりはマシです。
頭痛や吐き気以外の症状が出た場合はどうなるか、詳しいことは残念ながら分かりません。
が、おそらく対症療法が中心になると思うので、何かしらの症状が出た場合はすぐに看護師さんへ伝えましょう。
なるべく早く対処してもらった方が、症状が軽く済む可能性があります。
心配しすぎるくらいで丁度いいと思います。
初めてのことで分からないのは当たり前ですし、遠慮して症状がひどくなったら元も子もないですからね。
造影剤の影響はいつまで続く?
僕の場合、元の状態に回復するまで 10 日ほどかかりました。
その間はとにかく気分が悪くて、立っているだけでもしんどい状態。
検査の 2 日後には退院して仕事に復帰していたんですが、まったく集中できなかったですね。
体を起こしてられないので、ときどき机の上に突っ伏した感じになったり、立っているときは膝に手を置いて頭を下げたりという状態。
その姿を見かねたのか、一度だけ早退するよう声をかけられました。
あのときはさすがに「いやー、大丈夫ですよ」とは言えませんでしたね(笑)
素直にありがたく休ませてもらいました。
頭痛があまりにひどいので仕事を早退。
念のためかかりつけのクリニックを受診することにした。
造影剤の投与から約一週間……。
こんなに影響って残るものなの……?
— ざこいた@坐骨神経痛が痛かった人 (@zakoita) April 9, 2021
実は退院の日、すべての手続きが終わった後にものすごく気分が悪くなったんですよね。
ロビーでしばらく症状が治まるのを待っていたんですが、良くなるどころかさらにしんどくなるばかりで。
仕方ないので外来の受付に行って状況を伝えたところ、点滴の処置をしてもらうことができました。
一度退院手続きして支払いも終わったけど、どうしても気分悪いのがなくならず再び整形外科へ。
処置室で寝て待っとくことに。
— ざこいた@坐骨神経痛が痛かった人 (@zakoita) April 5, 2021
あー、全然違う。
ダメ元で言ってみて良かった。
ちょっとムカムカするくらいで「吐き気」というほどじゃない。
タクシーで帰ろうかと思ってたけど、これなら電車でも行けそう。
— ざこいた@坐骨神経痛が痛かった人 (@zakoita) April 5, 2021
点滴のおかげでこの日はなんとか帰れましたが、結局その後も症状は続きました。
夕食は雑炊とゴーヤーチャンプルー(昨日の残り)を食べた。
なんとか食べられた。
甘いものは受け付けない。
しょっぱい系ならなんとか。せんべいならバリバリ食べられる。
頭痛つらい……。
— ざこいた@坐骨神経痛が痛かった人 (@zakoita) April 9, 2021
どこかのタイミングでパキッと治ったわけではなく、少しずつ症状が治まってきた感じですね。
「これなら大丈夫そうだ」と思えたのは、造影剤を注入してから 9 〜 10 日後のこと。
頭痛はほぼほぼ治ってきた。
急な動きをしたらまだジワッと痛むけど、静かにしていたらすぐに治まる。
吐き気もほとんどなし。
今なら肉も食えそうだ( 'ω')و ̑
— ざこいた@坐骨神経痛が痛かった人 (@zakoita) April 12, 2021
想像以上に長く苦しめられました。
まさかこれほど症状が続くとは……。
本当に過酷でしたが、いったん症状が治まればぶり返すことはありません。
特別な処置(手術など)も必要ないまま終わったので、ひとまずは安心といったところ。
ようやく普段の生活に戻ることができました。
その頭痛と吐き気、本当に造影剤の副作用?
症状が続いた期間があまりに長いので、ある疑問が湧いてきました。
「この症状、本当に造影剤の副作用(だけ)なの?」と。
あれだけ水分を大量に摂り続け、検査から何日も経っているのに、造影剤ってそんなに体内に残るものなんだろうか……?
そう思って調べてみたところ、どうやらその疑問は当たっていたようです。
造影剤を注入したときの針の穴から髄液(脳脊髄液)が漏れて、そのせいで症状が出ている可能性もあるとのこと。
脊髄腔を穿刺した際流出した髄液に加え、穿刺針を抜去した後も、硬膜の穿刺孔から髄液漏出が続くことがあります。その場合、施行後に頭蓋内圧が低下し,頭痛などの症状が出現するようになります。頭痛の多くは数日から1週間程度で落ち着きます。症状に応じて入院して点滴治療を行うと多くの場合1~3日で改善します。
腰椎の硬膜に針を刺しますので、この針穴から硬膜の中にある脊髄液がもれます。検査後1日は安静臥床をして下さい。
臥床していないと頭痛が生じます。頭痛が生じた時には治るのは長くて10日間かかります。静かに寝ていれば早く治ります。
症状の内容や期間もほとんど一致しますね。
これは「脳脊髄液減少症(低髄液圧症候群)」という名前の付いたれっきとした疾患。
ミエログラフィーのように脊髄に針を刺した場合に起こることは、すでによく知られているそうです。
「腰椎穿刺」(脊髄周囲の髄液が存在する部位に針を刺す)という手技が発達し、その後、針穴から髄液が漏れる事により頭痛が生じる「低髄液圧性頭痛」が報告され、問題となりました。現在でも腰椎穿刺後に頭痛が起きることは知られています。
頭痛、嘔気、めまいは低脊髄圧症候群と呼ばれ、腰椎の穿刺部位から髄液が漏れることで脳脊髄液が減り、脳の浮力が低下することで脳を支えている血管や神経が引っ張られることで起こります。
ええと、要は
・造影剤を注入するために骨髄に注射をしたとき
・その針の穴から髄液が漏れ出して
・漏れ出た髄液の分だけ脳が揺れ動いてしまって
・そのせいで頭痛やら何やらの症状が出る— ざこいた@坐骨神経痛が痛かった人 (@zakoita) April 10, 2021
腰椎穿刺が原因だった場合、通常は僕のように数日で回復します。
しかし、まれに症状が長期化することもあるとのこと。
その場合、他の原因で発症した場合と同じように、髄液が漏れている穴を塞ぐための「ブラッドパッチ治療」を行うことになります。
幸い僕はその必要はありませんでしたが、この「ブラッドパッチ治療」は保険適用外だそうで……。
金銭的な負担がさらに大きくなりそうなので、できればお世話にはなりたくないですね。
まとめ
結局、僕を襲った症状の原因は
- 造影剤の副作用
- 腰椎穿刺→脳脊髄液減少症(低髄液圧症候群)
のどちらかではあると思いますが、はっきりとは分かりません。
主治医の先生に聞いても「数日で造影剤は抜けてるはずだけどねぇ……」という感じではっきりせず。
あやふやなままではありますが、症状は治まったのでこれ以上調べる必要も手立てもありません。
幸い(?)なことに、いずれにしても対処法は同じ。
基本的には、とにかく「極力動かないこと」に尽きます。
可能であれば輸液の点滴もしてもらってくださいね。
かなり楽になりますから。
いま症状に苦しんでいる人も、これから苦しむ人も、とにかく耐えてください。
時間が経てばきっと治ります。
一週間から 10 日ほどの辛抱です。
その時が来るのを信じて待ちましょう。