腰椎の手術をすると、しばらくの間(数ヶ月間)重いものを持てなくなります。
その「重いもの」にはいろいろなものが含まれますが、子どももそのうちの一つ。
僕が手術(腰椎固定術)を受けたとき、子どもは 2 歳 2 ヶ月でした。
体重は 12kg ちょっと。
好き勝手に走り回りますし、力も相当強くなっていました。
抱っこは当然できませんし、動きを抑えるだけでも大変。
実際に子を持つ親なら、この大変さは分かってもらえますよね?
もしイメージがつかないなら、「大きめの米袋が全力で暴れ回る」様子を思い浮かべてください。
それのだいたい 5 割増しくらいです(^_^;)
この記事では、腰の手術を受けたことで子育てにどんな影響が出るのか、具体例を挙げてご紹介します。
この記事で分かること
- 腰の手術を受けたら、子育てでどんな困り事が出てくるのか
- その困り事にどうやって対処すればいいのか
- 事前にどんなことをパートナーと話し合えばいいのか
実際にその場面になって初めて「あ……、そっか……」と気付くことも非常に多いですからね。
後で困ることがなるべくないように、事前にシミュレーションしてしっかり準備しておいてください。
できればパートナーとも相談しておくことをおすすめします。
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子育ての困りごと 1:あやせない
これはたぶん真っ先に思いつく困りごとじゃないでしょうか。
子どもを抱っこできないので、泣こうが喚こうがほとんどあやすことができません。
普段ならギャン泣きしている子どもをヒョイッと持ち上げて、背中をポンポンしてあげれば落ち着くんですが……。
その「ヒョイッ」ができないんですよね。
泣きながら「抱っこ〜」とせがんでくる子どもを抱き上げられないのは、なかなか精神的にもキツいものがあります(´-ω-`)
対策
ではどうするかというと、抱っこ以外の方法でなんとかなだめるしかありません。
- 膝立ち状態でギュッとする
- 寝転がってギュッとする
- とにかく子どもの体や頭をさする
ポイントは「密着」すること。
なるべく子どもとの距離を詰めましょう。
抱っこできないからと言って離れていても、状況が好転することはまずありません。
常に子どもの体に触れるようにして、安心感を与えてあげましょう。
このとき、子どもがよくやる「後ろに反る」動きには注意してください。
特に機嫌が悪いと頻繁に出てきます。
あれを手で支えようとすると、腰にダイレクトに負荷がかかるので非常に危険。
腕全体で子どもの体を包み込むようにして、後ろに反っても自分の体から離れないようにしましょう。
子育ての困りごと 2:子どもを運べない
これも当たり前といえば当たり前なんですが。
子どもを抱えて移動することができません。
例えばうんちが出たりしてオムツを替えるとき。
たぶんどこで替えるか決まっている家庭がほとんどですよね。
そんなときに、例えばリビングからオムツ替えの位置へ子どもを運ぶ……ということができなくなります。
子どもが自分で所定の位置まで来てくれたらいいですけどね。
なかなかそうはうまくいきません。
うんちが出ているのが分かっているのに、自分は何も手出しできない……。
なんとも情けない気分になります(´Д`)
あとは「行ってはいけないところ」や「危険なところ」に行ったり登ったりしたときに、連れ戻すこともできません。
ヤツらはこちらの目を盗んで、あっさりと予想外の行動に出ますからね。
そんなときも声を掛けるくらいしかできず、実力行使に出ることができないんですよね。
いつの間にか姿が見えなくなるので、本当に焦ります。
対策
これもできることは限られていて、基本的には子どもの自主性を信じるしかありません。
- 声をかけ続けて子ども自身に移動してもらう
- 別の楽しみを提案して誘導する
子どもに機嫌よく動いてもらうためには、こちらのテンションを上げることが意外と重要。
楽しそうな雰囲気を演出して、 どうすれば子どもが素直に動いてくれるか考えながら声掛けしましょう。
あとは、そもそも危険なところへ行かないように、普段以上に気を付けることです。
「何かあったら対応すればいい」が通用しませんから、何も起こらないように目配りしておきましょう。
子育ての困りごと 3:オムツ交換がしんどい
オムツ交換の所定の位置まで子どもが来たとして。
それで一安心というわけにはいきません。
腰の手術をすると、前屈みになることもできなくなります。
なので、布団に寝転がっている子どものオムツを替えることも、そのままやろうとすると大変な負荷になります。
特にうんちが出たときは余計に大変で、おしりを拭くのはおろかどこに汚れが付いているのかを見ることすらできません。
前屈みにならない姿勢で汚れを確認し、おしりふきでしっかり確実に拭き取るという工夫が必要になります。
対策
取れる姿勢には限りがあるので、大きくはこの 2 つになります。
- 片方の手や肘を付いて、もう片方の手でオムツを替える
- 完全に寝そべった状態になって両手でオムツを替える
ただし、ほぼほぼ 2(完全に寝そべった状態) になると思ってください。
片手だけでできることは非常に限られます。
おしっこだけなら何とかなるんですけどね。
片手だけでもオムツを脱がせるくらいはできますし、あとはこっちも横になりながら新しいオムツを履かせれば OK。
問題はうんちの場合。
- 汚れがある位置を確認する
- おしりふきで確実に拭き取る
この 2 つのミッションをクリアする必要があります。
結論から言うと、僕はいつも袈裟固めのような格好でおしりを拭いています。
もちろん向きは逆ですけどね(笑)。
自分の体を子どものお尻の方に向けて、片手で足を抱えあげてもう片方でおしりを拭く、という感じです。
この姿勢だとお尻の穴やおちんちんは目視で確認できるんですが、腰のあたりは見えません。
なので、子どもの体を横に倒すようにして確認する必要があります。
そのとき、子どもの足が汚れたオムツに当たらないように注意!
自分の体重が子どもにかかり過ぎないようにしながら、細心の注意を払ってミッションをやり切りましょう。
子育ての困りごと 4:子どもの遊びに付き合うのがしんどい
子どもの目線に合わせようとすると、どうしても自分の姿勢を低くする必要がありますよね。
しかし、腰椎の手術を受けると前屈みになることができませんし、あぐらをかくことやお尻を床に付けて座ることも不可能。
なので必然的に正座や四つん這い、あるいは寝そべった状態になります。
こんな姿勢で、子どもの動きや要求に対応するのは限界があります。
そもそも正座や四つん這いは、長時間続けられる姿勢じゃありませんからね。
かといって寝そべっていたらほとんど動けませんし、子どもが上に乗っかってきたら普通に苦しいし痛いです(笑)
何より怖いのは、咄嗟の対応ができないということ。
子どもは基本的に目の前のことしか見えていません。
まして遊びの最中となれば、余計に周りが見えなくなります。
どこかにぶつかったりこけてしまったり、ということは普通に有り得るんですよね。
なので様子を観察しながら起こり得ることを常に予測する必要がありますが、正座や四つん這いでその全てに対応できるかというと……。
なかなか厳しいものがあります。
対策
基本的には自分が頑張るしかありません(´Д`)
まずは少しでも動けるように、そして長時間続けてもしんどくない姿勢を取れるように工夫する必要があります。
四つん這いを少しでも楽にするには、肘を乗せられるくらいの低めの台があれば便利ですね。
うちにはスツール(のような物入れ兼簡易的な椅子)があったので、それを使っています。
普通に四つん這いをするよりは格段に楽ですよ。
もしそういうものがない場合は、脇息(きょうそく)を使ってみたらいいかも知れません。
初めて名前を聞いた人も多いと思いますが、たぶん見たことくらいはあるはず。
将棋の対局でよく見るアレです。
旅館に置いていることも多いので、使ったことがある人も居るのでは?
これを体の前に置いて支えれば、少しは四つん這いも楽になるはずです。
あとは、なるべく子どもの動きが制限できるスペースで遊ぶようにしましょう。
例えば部屋の角の壁際に子どもを置くようにして、自分が広い側に陣取るという感じ。
このとき子どもの周りに危険なものがないように注意してください。
角張っているもの(テレビ台など)がない場所で、おもちゃだけを置いて、床に緩衝マットが敷いていればベターですね。
狭い場所に閉じ込めるようで可哀想ですが、こちらが動けない以上仕方ありません。
子どもの安全が第一。
動けないなら動けないなりに工夫してみましょう。
子育ての困りごと 5:保育園への送り迎えができない
これは完全に想定外でした。
「よくよく考えれば……」ということではあるんですけどね。
保育園への送り迎えは、基本的に自転車でしています。
僕はいわゆるママチャリに後付けしたベビーチェアに乗せていました。
奥さんはいわゆる「子ども乗せ自転車」です。
いずれにしても、「子どもを抱っこして乗せる」という作業が必要なんですよね。
これは意外と盲点でした。
どう頑張っても腕を伸ばした状態で子どもを抱え上げなければ、ベビーチェアに乗せることはできません。
そして、それは腰椎の手術をしたばかりの人間にとって最も避けなければならない動作です。
というわけで、腰が治るまで(背骨がしっかりくっつくまで)僕は保育園の送り迎えからは外れることになりました。
対策
対策も何も……。
これはもう奥さんに頼るしかありません。
僕ではどうしようもないですからね。
他に方法がないわけではないんです。
それは、ベビーカーを使うこと。
ベビーカーであれば子どもは自力で降りることができるので、乗せることさえ誰かにしてもらえれば可能ではあるんですよね。
ただ、朝の送りでは時間がかかり過ぎるので却下。
お迎えであれば保育士さんに乗せてもらえれば何とか可能ですが、あんまり何度もお願いするのはさすがに気が引けるというか……。
なので、どうしても奥さんでは対応できないときなどに限って、裏技的な使い方をしています。
子育ての困りごと 6:ベビーチェアに乗せられない
次は家の中で使っているベビーチェアの話。
うちでは主に食事のとき、トリップトラップのベビーチェアに子どもを座らせています。
これも自転車のベビーチェアと同様、「腕を伸ばした状態で子どもを抱え上げる」という動作は避けられません。
どう頑張っても無理。
さすがに子どもが自力で乗ったり降りたりはできませんからね。
僕しか居ないときは仕方ないので諦めています。
対策
これも対策というか、奥さんに任せきりです。
すんなり座ってくれるときはいいんですけどね。
ときどきふざけて椅子の上で暴れ回ったりするのを見ているしかないのは、なんとも情けない限りです。
奥さんが居ないときは、「子どもの遊びに付き合うのがしんどい」の項で出てきた「スツール(のような物入れ兼簡易的な椅子)」に座らせています。
初めは戸惑っていましたが、何度か繰り返せば理解するようになりました。
あなたの家に子ども用の椅子が高いベビーチェアしかない場合、低めの椅子を用意しておいた方が良いかも知れません。
子育ての困りごと 7:お風呂に入れられない
これは「何かあったら対処できない」という類の話です。
息子は 2 歳なので放っておいても勝手に遊んでいるんですが、やはりもしものときが怖いんですよね。
お風呂はどうしても滑りやすいですし、顔がお湯で濡れて暴れて何かにぶつかって……ということも十分に考えられます。
そうなったとき、この腰の状態で素早く対処できるかというと……。
正直自信はないですよね。
こけそうになった子どもを支えることも難しいですし、こけてしまった子どもを抱き上げることもままなりません。
何もなければいいんですけどね……。
あと、子どもを湯船に入れてあげることができません。
これは自転車やベビーチェアと同じ理由で、「腕を伸ばした状態で子どもを抱え上げる」ことができないからです。
シャワーだけで済ますならいいんですけどね。
しっかり湯船に浸からせてあげたいなら、何らかの対処が必要になります。
対策
初めはずっと奥さんに入れてもらってたんですが、やはりそれだとあまりに負担が大きすぎるということになり。
少しずつ様子を見ながら、僕もお風呂に入れるようになりました。
今のところ何事もありませんが、やはり「何かあったら……」という不安は常にあります。
基本的に奥さんが居るときにしかお風呂に入れないので、何かあったら奥さんに助けを求めますけどね。
あと数ヶ月だけなので、何もないことを祈るしかありません。
子どもを湯船に入れるのは、今でも奥さんにお願いしています。
僕と子どもの体を洗い終わった段階で奥さんを呼んで、交代で僕が外に出るという感じ。
こればっかりは本当にどうしようもないので、頼り切ってます。
まとめ:できることは限られるけど、できる限りのことをしよう
ここに挙げた「できない・できなくはないけどしんどい」はほんの一例です。
子どもと日常を過ごしていると、本当に些細なことができずに苦労することが山ほど出てきます。
でも、できないことをできないからと言って諦めるのではなく、「どうしたらそれに近いことができるか」を考えてみませんか?
どう頑張ってもできないことはありますが、できることは必ずあります。
幸い、この状態が続くのは数ヶ月だけですからね。
死ぬまで一生ずっと……という訳ではありませんから、その間を何とかしのげればいいのです。
できることは限られてしまいますが、できる限りのことをしましょう。
子どものため、パートナーのため、頑張りましょうね。