腰椎の手術をするのに先立って、造影剤を使った「ミエログラフィー」という検査をしました。
僕の場合は 2 泊 3 日の入院で、手術の約 1 ヶ月前くらいでしたね。
「造影剤」という薬品を腰椎に流し込むことで、通常のレントゲン(X 線撮影)よりも骨の状態をはっきりと見ることができるそうです。
外科的な治療法を検討・決定するには、CT や MRI よりもこの造影剤を使ったミエログラフィーの方が優れているんだそうですよ。
ミエログラフィーとは脊髄腔の形状・交通性を診断するための臨床検査のひとつです。腰椎から造影剤を脊髄腔内に注入し、X線でその拡散の様子を透視・撮影します。主に、脊髄(もしくは馬尾神経)の圧迫病変の有無の評価に用いられます。MRIの発達によって脊椎脊髄の病変の診断という点での臨床的価値は薄れましたが、外科的治療法の選択や立位撮影、動態撮影に優れています。
で、検査を受ける方からすると、この造影剤がなかなか厄介なヤツで。
当初は「本当に 2 泊も要る?(笑)」という感じだったんですが、完全にナメてましたね……。
副作用が本当にしんどくて、想像以上の大変な思いをしました。
これから検査を受ける人には、同じ苦しみを味わってほしくありません。
そこで、この記事ではミエログラフィーのために入院する際のポイントを 3 つご紹介します。
この 3 つさえ押さえれば完璧……という訳ではありませんが、僕が味わった苦しみを大幅に軽減してくれるはずです。
この記事で分かること
ミエログラフィー(造影剤を使った検査)で入院するときの……
- 注意すべきこと
- 準備すべきこと
- 意識すべきこと
事前に知ってさえいれば、誰にでもできることばかりです。
ぜひ参考にしてください。
クリックできる目次
ポイント 1:大量の水分を事前に準備して、チビチビ飲み続ける
ミエログラフィーを受ける前に、水分を大量に購入しておきましょう。
できれば 2L 入りを 2 〜 3 本、最低でも 1 本は欲しいところです。
お茶でもスポーツドリンクでも、アルコール以外であれば何でも構いません。
自分が飲みやすいものを準備してください。
お茶、2L買っとけば良かった。
500ml2本なんかすぐなくなったわ……
ハハハハハ( ゚∀ ゚)
— ざこいた@坐骨神経痛が痛かった人 (@zakoita) April 4, 2021
なぜそんなに大量の水分が必要かというと、できるだけ早く造影剤を体の外に出すためです。
腰椎に流し込んだ造影剤は、最終的に尿として体外に排出されます。
そのため、ミエログラフィーの後は隙あらば水分を摂り続け、どんどん尿を出す必要があるんです。
輸液(水分補給)の点滴をするのもこのためですね。
14時過ぎで点滴終了。
ただ、後で(吐き気とかの)薬を点滴するかもしれないから一応針は残しておくことに。
医師からの指示は「今日はゆっくりしておいて。水分はしっかり摂って」
それだけかーい( ノД`)
とにかくお茶を飲みまくるしかない。
— ざこいた@坐骨神経痛が痛かった人 (@zakoita) April 4, 2021
ところが、検査当日はベッドで安静にしていなければなりません。
アレルギー反応や頭痛などの合併症が出る可能性もあるので、様子を見るためです。
僕の場合は病室内のトイレまでは許可が出ました。
しかし、逆に言うと室外に出ることすらできないということです。
今日はベッドで安静に。
30度まで頭を上げて寝とかないといけない。病室内のトイレまでは行ってもいいと。
コンビニにも行けない(´・ω・`)
お茶も買ってないことを看護師さんに伝えると、暖かいお茶を入れてきてくれた。
ありがたい。— ざこいた@坐骨神経痛が痛かった人 (@zakoita) April 3, 2021
つまり、ミエログラフィーを受けた後は(少なくとも)丸一日、売店に行くことすらできません。
これには本当に参りました……。
僕は何も用意せずに入院してしまったので、すぐに手持ちの水分が底をついてしまったんです。
「後で買えばいいや」と思っていたあのときの自分を殴ってやりたい( 'д'⊂彡☆))Д´)パーン
また、病室外へ出ることが許可されたとしても、頭痛などの副作用があると売店まで辿り着けないかも知れません。
歩くだけならできたとしても、エレベーターに乗ると気分が悪くなることもあります。
(というか、僕は悪くなりました)
エレベーターに乗るのがつらい。
止まってる状態から上がったり下がったりし始めるときのあの感じが無理。
一気に頭痛と吐き気が襲ってきた。
— ざこいた@坐骨神経痛が痛かった人 (@zakoita) April 4, 2021
なので、ミエログラフィー後は動けなくなることを想定して、事前に水分を大量に用意しておきましょう。
そして、どんどん飲んでどんどん造影剤を出してしまいましょう。
ただ、注意しておかないといけないのは、一度に大量に飲んでも水分は吸収されないということです。
陸上自衛隊の夏の行軍のとき「水はたくさん飲め。でも一気に飲むな。ちびちび飲むんだ」と教えられました。理由は一回に吸収できる水の量は決まっており、150~250ml以上をとっても身体に吸収されないからです。夏場に水をがぶ飲みすると敗残兵のようにヨレヨレになるので、水は少しずつ飲みましょう。
— ぱやぱやくん (@paya_paya_kun) July 3, 2021
一回に吸収できる水の量は決まっており、150~250ml以上をとっても身体に吸収されない
一気にガブガブ飲むのではなく、チビチビと小分けにして飲みましょうね。
ちょっと長くなったので、ここまでの話を整理します。
- 造影剤を体外に出すためには、尿として出すしかない。
- そのためには水分をたくさん摂る必要がある。
- しかしミエログラフィー当日はベッドで安静にしないといけないので、自分で調達することができない。
- なので、検査前(入院するとき)に大量の水分を準備しておこう!
- そして一度にガブガブ飲まずに、チビチビと小分けにしてどんどん飲もう!
大量の水分を持ち運ぶのは大変ですが、きっとあなたを助けてくれます。
できる限りの量を持っていきましょう。
ポイント 2:翌朝までは頭を上げた状態で、なるべく安静に
ミエログラフィーの検査当日は、頭を少し上げた状態で寝ることになります。
病院によるかも知れませんが、僕の場合はだいたい 30 度くらいベッドを上げていました。
その状態で検査当日は安静にして過ごします。
なぜ頭を上げた状態にするかというと、腰椎に注入した造影剤が頭の方に流れてこないようにするため。
造影剤は脊髄にある「クモ膜下腔」というところに入れるんですが、ここは脳脊髄液で満たされてるんですね。
要するに、脳まで直接繋がっているところに造影剤を注入するということです。
水溶性のヨウ素造影剤を頸椎あるいは腰椎くも膜下腔に投与し撮像する方法である
クモ膜下腔は脳脊髄液で満たされている。
頭の位置が低くなると、造影剤が頭(脳)の方に流れて副作用が出る可能性が高くなります。
それを防止するために頭を上げておく必要があるわけです。
トイレ歩行以外は床上安静として、安静中は造影剤が頭蓋内に入らないように、頭部を10〜30度挙上します。
僕はほぼ丸一日ずっと頭を上げた状態で過ごしていましたが、睡眠中はベッドを下げて水平状態で寝てしまいました。
そしたら翌日からとんでもない頭痛が!(´Д`)
気分が悪くて座ることすらできませんでした。
いや、冗談抜きで頭いたい。
ガンガンする。吐き気とまではいかないけど、なんとなく気持ち悪いし。
結局ベッド倒しちゃった。
また寝転んでます。歩いたら治るのかなぁ。
— ざこいた@坐骨神経痛が痛かった人 (@zakoita) April 3, 2021
あかん。
マジで気持ち悪くてカレーが食べれない……。— ざこいた@坐骨神経痛が痛かった人 (@zakoita) April 4, 2021
ベッドを下げていなくても、こうした副作用が出た可能性も当然ありますが……。
それでも「一日くらい頭を上げた状態で寝れば良かった!」という後悔は今でも残っています。
なので、あなたがミエログラフィーを受ける際には、せめて翌朝までは頭を上げた状態で過ごしてください。
それで副作用が出たら諦めもつくというもの(´ω`)
できる限りの対処はしておきましょう。
注意ポイント
あまり動き回ると、造影剤を注入するために針を刺した穴から脳脊髄液が漏れ出て、それが原因で頭痛などの症状が出ることもあります。
なので、可能な限りベッドの上で安静にしておきましょう。
(そして水分を摂りましょう)
ポイント 3:しんどかったら看護師さんに遠慮せず言う
造影剤の副作用は、出てしまうと本当にしんどいです。
僕の場合は頭痛と吐き気がずっと続いて、水分を摂るために数十秒だけ体を起こすのがやっと。
立ったり歩いたりはおろか、座ることすら満足にできませんでした。
こういうときは、遠慮せずに看護師さんへ「しんどい」と言ってください。
この症状は、放っておいても改善することはありません。
看護師さんに助けを求めて、可能な処置をできる限りしてもらいましょう。
おそらく、してもらえる処置としては基本的に以下の 2 つになると思います。
- 輸液の点滴(水分・電解質の補給)
- 痛み止め(ロキソプロフェンなど)の処方
どういう仕組みかは分かりませんが、点滴をしてもらうと副作用の症状が和らぎました。
検査翌日に副作用が強く出たので点滴を追加してもらうと、それだけでかなり改善したんです。
そんな短時間で造影剤が排出できたとは思えませんが、とにかく点滴をすることで症状が軽くなるのは身をもって感じた事実。
予定していた点滴が終わった後に症状がしんどい場合は、遠慮せず追加してもらいましょう。
もちろん症状の緩和だけでなく、造影剤を体外へ排出するためにも点滴は有効です。
「輸液の点滴」とは、要するに点滴による直接的な水分補給のこと。
経口で補給した水分は腸での吸収を待つしかありませんが、点滴で注入した水分は直接体内に取り込まれます。
調べてみた。
> 経口摂取不能又は不十分な場合の水分・電解質の補給・維持https://t.co/EtpyYpyykw
つまり、単なる水分補給……?(´・ω・`) https://t.co/mLyAMdY9Hu
— ざこいた@坐骨神経痛が痛かった人 (@zakoita) April 3, 2021
点滴開始。
ハルトマン輸液。
> ○循環血液量及び組織間液の減少時における細胞外液の補給・補正
○代謝性アシドーシスの補正これも水分補給かな。https://t.co/touew3ZDSU
— ざこいた@坐骨神経痛が痛かった人 (@zakoita) April 4, 2021
造影剤への対処はとにかく水分を多く摂るしかないんですが、自分で飲むだけでは限界がありますからね。
副作用で苦しんでいるときに体を起こして水分を摂るのは、拷問かと思うほどつらいですし。
おそらくミエログラフィー直後(あるいは直前)から、輸液の点滴は始まっているはず。
検査当日は、この点滴だけでかなりの量が体内に入ります。
(僕の場合はだいたい 2L くらい)
どんどん水分を摂取して、なるべく早く造影剤を体の外に出してしまいましょう。
また、痛み止めの薬を服用することも効果的。
ロキソプロフェンナトリウム 60mg あたりになると思います。
これも遠慮せずに出してもらいましょう。
痛み止めを飲んだから回復が遅れるとか、別の症状が出るんじゃないかとか、そんな心配はいりません。
体に悪影響が出るほどの量は病院も出しませんから、目の前の苦しみをどうにかすることだけを考えてください。
無用な症状で苦しむ必要はありませんからね。
まとめ
ミエログラフィー(造影剤を使った検査)で入院する際のポイントを 3 つご紹介しました。
すべて僕が実際に体験して実感したことです。
副作用は人によって出たり出なかったり、症状の重さもまちまちだったりするので、ケースバイケースではあるんですが。
それでも事前に知っておけば慌てず対処できるはずですからね。
頭の片隅にでも入れておいてください。
頭を上げたベッドで安静に過ごしながら、チビチビと水分を補給しつつ、しんどければ看護師さんに遠慮なく伝える。
これさえ心掛ければかなり苦しみは抑えられるはずです。
副作用は突然やってきます。
油断しないでくださいね!